さて、この曲はなんて言ってるのだろう  <旧館>

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You Are My Sunshine / The Pine Ridge Boys 他多数

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Lyrics&訳


The only lady

 

君しかいないんだ

 

The other night, dear
As I lay sleeping
I dreamt I held you
In my arms
But when I awoke, dear
I was mistaken
Then I hung my head and I cried

 

こないだの夜、さ
横になって寝てたらさ
夢を見たんだ。君を抱きしめる
この両腕にね
でも、さ。目が覚めちゃって
なんだ、違ったって
頭抱えて、泣いてた

 

You are my sunshine
My only (only) sunshine
You make me happy
When skies are grey
You'll never know, dear
How much I love you
Please don't take my sunshine away

 

君は太陽
僕だけの
君がいれば幸せ
例え曇りが続いても
知らないよね
僕がどれ程好きかって
ねえ、行かないで。僕の太陽

 

You told me once, dear
That you love me
There's nothing else could
Come between
But now you've left me
For another
And you shattered all of my dreams

 

言ったよね
僕を愛してるって
誰もいなかったよね
僕らの間に
でも僕を置いてった
他の誰かの為に
僕の夢を破ったね

 

You are my sunshine
My only (only) sunshine
You make me happy
When skies are grey
You'll never know, dear
How much I love you
Please don't take my sunshine away

 

君は太陽
僕だけに眩しい
あったかいんだ
落ち込んだ時も
知らないでしょ
どれ程君が大好きかって
ねえ、行かないでよ。僕の太陽

 

I'll always love you
And make you happy
If you will only
Say the same
But if you leave me
For another
You'll regret it all someday

 

ずっと好きだよ
幸せにする
もし君の答えも
同じだったらね
でも僕を置いて
他の人を選んだら
後悔するよ。いつか。絶対。

 

You are my sunshine
My only (only) sunshine
You make me happy
When skies are grey
You'll never know, dear
How much I love you
Please don't take my sunshine away

 

君は太陽
僕だけの太陽
君さえいてくれたら
嫌なことがあった日さえ
でも、君は知らない
こんなに愛してるのに
お願いだから、行かないで。僕の太陽

 

The only lady


君しかいないんだ

 

この曲について

 もはやこの曲は知らない人はいないと言っても過言ではないでしょうね。いろんな歌手が歌っている曲ですが、日本では恐らく、ジミー・デイヴィス(Jimmie Davis)やウィリー・ネルソン(Willie Nelson)が歌っているような、陽気で軽快な曲のイメージが最もポピュラーではないでしょうか。そのせいもあってか、実は失恋ソングと知って驚かれることも多い曲ですね。

 

 今回の訳を見てお分かりの通り、この曲は憧れの人、或いは恋人が他の人に取られてしまったことを歌っています。曲のテーマとしてはごくごく一般的で、言ってしまえばそういった曲は他にも沢山あると思います。

 ただ、この曲の特徴の一つとして、他の聴き手との間で共通して明確に映像化できるイメージと言うものが殆ど無いように思えます。というのも、よくよく歌詞を冷静に読み取ってみると「愛してる」「でも振られた」を延々と言っているだけとなっており、しかもその歌詞を構成する単語や表現も、簡単でシンプルなものばかりとなっています。つまり、情報量が圧倒的に少ないのです。自身たちの性別も不明です(今回歌詞を参考にしたThe Pine Ridge Boysのバージョンに限っては冒頭にLadyと付け加えられているようですが)。

 

 ただ、それ故にこの曲を聴いたとき聴き手は、不足している情報を勝手に補完して、色々イメージしてくれるのだと思います。ましてや、テーマも失恋という普遍的な物なので、言ってみれば自分自身を重ね易い曲なのかもしれません。

 更に言えば、これは英語の一つの特徴だと思うのですが、英語は一つの単語が持つイメージの幅が、日本語のそれより広い気がします。英語初期に習うような、単純な単語であれば特にです。その為、聴き手が持つ印象の幅もぐっと広がり、聴き手の感性や老若男女を問わない曲となったのではないでしょうか。

 

 例えば、今回僕は、恋愛ごとにとても不器用で純情な男性をイメージして訳しましたが、別にこの主人公は「理想の彼女と付き合えたことに舞い上がって調子に乗っていたけど、あっさり乗り換えられた途端、彼女に必死で泣いて縋る情けない男」というコメディっぽい解釈だってできますし、前述の通り主人公は女性でも歌詞に問題は出てきません。場合によっては、歌が後半になるにつれ、裏切られた恨みをじわじわと募らせていく、ちょっとゾッとするような性格の主人公でもこの歌詞は受け入れられてしまう気がします。(この場合、3回目のYou’ll never know, dear辺りでは、もはや想い人を殺めていますよね、きっと)

 

 勿論、ネイティブの方にとって、この歌詞が本当に上記のような感覚で捉えられているかどうかは分からないのですが、この曲ほど世界中の色々な人に愛され、様々な形でアレンジ、カバーされている曲は他にはそうそう無いと思います。それはそれだけ解釈が千差万別であっても問題なく、人種、性別、年齢に囚われない曲であるからのように思えます。

 

 さて、この歌詞ですが、冒頭「あれ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。この曲は、現在では歌い出しから「You are my sunshine, my only sunshine」と歌われることが多いですが、もともとは現在で言うところの2番から歌われていたようです。
 この曲は最早カバーされすぎていて、どれがオリジナルか良く分からないのですが、少なくとも、レコードとしては1939年にThe Pine Ridge Boysというデュオによって歌われたのが最初のようです。折角なので、歌詞もこのバージョンに準拠してみました。(一部耳に頼っているので、もしかしたら不正確かもしれません。最初と最後のヨーデルみたいなところは特に自信無しです)

 


Pine Ridge Boys - You Are My Sunshine

 

 なお、この曲の著作権を持っているジミー・デイヴィス(Jimmie Davis)がルイジアナ州知事を務めたことから、この曲はルイジアナ州歌とされているようです。しかし、経緯が経緯とは言え、失恋の曲を州歌にしてしまう辺り、やっぱりアメリカって自由だなと思ってしまいます。

 

訳、言葉について

 今回、取り立てて気になる言葉は有りませんでしたが、あえて挙げるとしたらYou’ll never know, dear, how much I love youの部分でしょうか。「僕がどれだけ愛しているかを君は知ることは無い」という意味になりますが、これは歌詞によってはYou never know, dear ,how much I love youとなっています。

 個人的にこう感じると言うだけですが、You’ll never knowだと「知ろうと思えば知ることは出来るけれど、敢えて絶対しないよね」という、意思の部分にフォーカスが当たっている気がします。対してYou never knowだと「知りたくても知れない。例えどんなに努力して知ろうとしたとしても無理」という能力面にフォーカスが当たっている感じがします。

 なので、前者だと「もう、僕がどれだけ愛しているかなんかどうでもいいよね」という独白のように見て取れますが、後者の場合「君が知ることが絶対出来ないくらい、僕の愛は深いんだよ」と、自分の持っている愛の程度をPRしていることになり、ちょっとポジティブな感じが出ると思います。

 

 ところでこの歌詞、You told me once, dearの件と、I'll always love youの件の順序が逆のような気がします。そう思っていくつかのサイトを調べてみたら、実際逆に掲載されているサイトもありました。ここまでオリジナルが分からない曲も珍しいですね。

 

 まあ前述の通り、聴き手が思い描きたいように思い描くのがこの曲の醍醐味な気もしますので、他の文面も前向きに受け取ってみたり、後ろ向きに解釈してみたりして、是非自分なりのスタイルで情景を味わってみると面白いと思います